政策過程 〜日本の政官関係の課題〜

現在の日本の政治システムは、政治家と官僚が担っている。政治家とは、国民が選挙によって選んだ代表者であり、官僚は、国家公務員試験に合格し、中央官庁に採用され、国家の運営に関する業務を行う人である。政治家と官僚は、国政に携わっているという点では、共通しているが、前者は国民の代表であるのに対し、後者は国民の代表ではないという大きな違いがある。政治家は、政策を国民に披露したり、吟味するなどを仕事としている。一方で官僚は、政治に関する高い専門知識を活用して、政治家が掲げた政策を実行する際に実質的な作業を仕事としている。このシステムでは、政治家は、国民のニーズに合った政策を掲げている人物が選挙にて当選する可能性が高く、官僚は、国民によって選ばれた政策と政治家をサポートするため、政治が円滑に進められることが期待できる。しかし、この「政官関係」には政治家と官僚の間に、政治を行うこと以外の、不必要な関係性がないことが前提である。万が一、両者の間に力関係があれば、力の強い者の「言いなり」の政策が実施され、国民を巻き込むような事態にも発展する。そもそも、政治家は政治のプロフェッショナルではない場合もある。選挙で当選する議員が、必ずしも国民の期待に応えた政策を掲げているとは限らない。財力や知名度など、政治的な観点以外で国民が投票した場合、官僚に大きな負担と責任がかかる。そのため、当選後に適切でない政策が実行されたり、過去のスキャンダルが発覚して、政治に影響するケースもある。一方の官僚は、公務員試験が存在し、トップレベルの政治に関する知識がなければ合格しないため、ある程度の期待ができる。だが、国民は官僚を選ぶことができないため、政治家の政策を悪用する官僚を見極めることができない。また、政治家に大きな力があれば、官僚のスキルが活かされず、間違った政策が遂行されことになる。そして、政治家や官僚に対して、自身の利益を追求して圧力をかける組織が存在すれば、国民の期待する政治は行われないというリスクもある。

このように、日本の政策過程には、利点もある反面大きな課題もある。これらの課題は政治を担う、政治家と官僚だけでなく、我々国民一人一人が、政治に対して興味を持ち、適切な判断や投票をしていく必要がある。法の整備やシステムの変更なども、課題解決への一歩となるが、国民の政治に対する意識が向上することが、何よりの課題解決への得策になるだろう。